極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~

「イケメンに弱いんですね」


見たままの見解を言うと桧山さんは笑った。


「彼女、楓ちゃんも好きなんだって言ってたよ。つまり楓ちゃんもイケメンってわけだ」
「メンズ…ではないんですけどね」


真面目に答えると桧山さんはさらに笑った。
その笑い声にふたりが揃ってこちらを向いたのが分かったので桧山さんの服を見えないように引っ張る。


「あ、ごめん。声、大きかった?」
「そうですね。いや、でもそれより早く回りましょう」


と言うのも、ポツポツと雨が降り出してきたのだ。
予報は終日晴れだったのに紬の予想が当たったというわけ。

今は遠くで雷の音も聞こえ始めている。


「キャア!怖い」


雷が鳴るたび、桧山さんにしがみ付く東さんを横目に、スマートフォンを取り出し、ゴルフ場の関係者に連絡する。

でもゴルフ場側は「クローズ」とは言って来ない。
こちらの判断に任せると言う。

残りはあと2ホール。
それでハーフが終わる。


「とりあえずそこまではやろう」


桧山さんの判断で急いで球を打つ。
おかげで全員のスコアはボロボロ。
それでも大粒の雨に打たれることはなかった。


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