極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
クラブハウスに入るなり、紬と東さんにタオルを渡し、椅子に座らせる。
「おふたりはここで待っていてください」
私と桧山さんは後続のグループで回っている所長の帰りを外で待つ。
すると間も無く、びしょ濡れになった所長が姿を現した。
「大丈夫ですか?!」
「大丈夫…じゃないな。雨はすごいし、雷が鳴っている。万が一のことが起きてからでは取り返しがつかないから今日は中止にしよう。ハーフの結果で表彰式に移る。俺は皆さんにそれを伝えつつ、温泉に入り着替えてもらうよう促して来るから君たちはそちらの準備を頼む」
本来なら18ホール回り終えてから着替えを済ませて歓談を兼ねたパーティーと表彰式、という流れを予定していたけど仕方ない。
臨機応変に対応しないといけない場合はどんなときもある。
そしてそれは参加者の皆様も分かってくださる。
ただ1人を除いて。
「つまり俺の負けということか?」
着替えを済ませサッパリしているはずなのに、納得がいかないと怪訝な顔をしている紬に勝負の無効を伝える。
「今行われている表彰式ではハーフの結果を使っていますが、個人的な勝敗は保留にしましょう」
会場内では表彰式が順調に進んでいる。
名前が呼ばれるたびに紬も拍手を送ってはいるけど、どうにもこうにも釈然としないらしい。