極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
ただし、ここで一応誤解のないように言っておきたいのだけれど、私が彼に会いたいと思ったのは世間が騒いでいるような清楚でクールでスマートな紬の姿に飛び付いたからでは断じてない。

たしかに実物は写真よりはるかにカッコいい。
切れ長の目にすっと通った鼻筋、薄めの唇、色白の肌。
180センチはあると思われる高い背丈は高級そうなスーツをモデル並みに完璧に着こなしている。
そこに高学歴、高収入、独身、と続けば世間が騒ぐのも無理はないだろう。

でもそんな容姿やステータスよりも30歳という若さで数百人の従業員の生活を守ったということの方に私は惹かれた。

今だに話しかけてもロクに会話はしてもらえないし、目も合わせてもらえないし、あからさまに毛嫌いされている感は否めないけど、中津川紬という実力派の経営者と仕事が出来ているというだけで気分が上がる。

だから、めげずに紬のことを、会社のことを考えて自分なりに作ってきた書類を差し出す。


「社長。ご高覧いただけますでしょうか?」


他の書類に目を通している紬の横に立ち、丁寧にお伺いを立てる。
そうすればさすがにこちらに目を向け、書類を手に取ってくれた。
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