極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「えっと、それでどこに向かうんですか?この服、おかしくないんですよね?なのに服を買わないといけないんですか?」
矢継ぎ早の質問に紬はゆっくりとアクセルを踏んでから答えてくれた。
「今日の目的と合わないんだ。もっとも行き先を話してなかったから無理もないが」
「どこに行くんですか?」
「それは着けば分かる」
うーん。
なんで教えてくれないのだろう。
メガネを今日も外しているからアウトドア系のような気もするけど、車外は知らない場所で、目的地を予測するのは不可能だった。
だからもう開き直って紬の運転に身を任せる。
するとまもなく、車は駐車場に入った。
「あ、なるほど」
紬に続いて降りればたしかに彼の言う通り、目的地がどこで、これからなにをするのか店舗を見て分かった。
でも…
「ムリですよ、私。経験ないですし、カードは置いてきてしまったので、ここの服を買うお金を持ち合わせていません」
「金の心配は無用だ」
店先で足を止める私を無視して紬は店内へと進んで行く。