極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「コンサルティング、か」
「はい」
月次決算で作成した決算書類をもとに経営に関するアドバイスや税金に対するアドバイスをまとめてきた。
知識と経験から今の自分が提供出来る全てをそこに集約したけど、どうだろう。
一枚一枚捲られる毎に緊張が増す。
「いかがでしたでしょうか」
最後のページを見終え、机の上に書類が置かれたのを機に声をかける。
「分かりにくかったですか?」
「いや…だがこれは…俺の思い違いだったのか?」
「それはどういう意味でしょうか?」
最後の呟きが気になり、すぐに聞き返す。
すると紬は書類を目にしたまま首を捻った。
「これは本当にきみが作ったものなのか?」
「はい」
すべて私が考え、作ったものだ。
でもそれが良い意味で問われているのか、悪い意味で問われているのかが今の時点では分からない。
だから「はい」と答えた声は弱気で、掠れてしまった。
そんな私を紬は一瞥すると、椅子の背もたれにゆっくりと体を沈め、なにか考えるように腕を組んだ。
数十秒間の静けさが不安を募らせる。
紬が小さく首を左右に振り「フッ」と息を漏らしたときには緊張から体がビクッと震えてしまった。