極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
帰りは吊り橋のない舗装された道を選んでくれたおかげで行きより早くケーブルカーの乗り場に着いた。
「うわぁー。綺麗」
ちょうど日が沈む頃でホームからはオレンジ色の景色が目に飛び込んで来た。
息を飲むほど綺麗な夕焼けに目を奪われ、自らケーブルカーの窓際に足を進める。
「社長も見てくださいよ」
振り向いて紬に声を掛ける。
でも目が合った瞬間、パッと顔を背けられてしまった。
その露骨な態度に胸がもやっとする。
先ほど目を逸らされたこととなにか関係があるのだろうか。
下山する前からずっと黙ったまま。
気分を害させるようなのことを私はした?
数時間前までは楽しく過ごせていたのに、一体なんだろう。
帰りの車内で色々思い返してみているけど心当たりがない。
どうしよう。
外はもう見慣れた景色だ。
もうすぐ紬の会社に着いてしまう。
何に対して謝ればいいのか分からないけど、さすがにこのまま別れていいわけない。
「あの…」
今後のためを思い、声を掛けると私の言葉を無視するかのように紬が言葉を被せてきた。