極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
クライアント先の社長という名目があるからおかしくないだけで、普通に考えたら怪しまれる。

ただ、それよりも問題なのは『恋人』の方。


「あの、社長は本当に私でいいんですか?結婚ですよ?ご両親、反対しませんか?」
「早くしろと言われてるからむしろ歓迎されるだろ」


それは私も同じだけど…


「私、すごい料理が下手で、部屋が汚くて、寝顔はブサイクかもしれませんよ?」
「なんだそれは。だが別に構わない。料理は俺自身が上手だし、キレイ好きなのは知ってるだろ?それになによりきみの顔はどんな表情していても好きだから」


ダメだ。
なにを言ってもダメっぽい。
さり気なく『好き』って言われて私もドキドキしちゃってるし。


「でも、でも、どうしてですか?元は私のことよく思ってなかったですよね?それに…なんかいつもの冷静な感じと違って戸惑います」
「あぁ、そうだな。いつもの俺だったらこんな風に仕事の邪魔をしてまで会いには来ないな。いくら近くを通ったからといっても」


その自覚があるなら良かった。
感覚の差に戸惑っていたから。

でも紬はフッと小さく笑い、続けた。


「普段の自分でいられないくらい、いつの間にかきみのことがものすごく好きになっていたんだな」

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