極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
なんだろう、この数字。

なにか変。

税理士としての感がどこかおかしいと言っている。

胸騒ぎがする。

経理の方の計算間違いだろうか。
それとも入力ミス。
それとも……


「どうしかしたのか?」


手を止めて考えているところに向かいの席から声が掛かった。


「あ、いえ…」


言い淀む私の様子を気にした紬は立ち上がり、私の背後に立った。

そして腕をパソコンの横に付いてから身を屈めてパソコンの画面を見てきた。


「このデータ、おかしいのか?」


紬の息が耳に掛かる。
よりによってこんなときに接近するなんて。


「なにか気になることでもあるのか」
「あ、いえ、あの…」


どうしよう。
税理士の感程度の不確かなことは言えない。それにあまりに距離が近くて紬を意識してしまい、頭が正常に回らない。

これではいけないのに。

うつつを抜かして判断を間違えたら大変だ。ここはきちんと割り切ろう。
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