極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
紬にリュックを人質、ならぬモノ質に取られ付いて行くこと車で20分。
予約してくれていた店は某有名ホテルの8階にある日本料理のお店だった。
高級感漂う和風造りの店内は平日だというのにお客様でいっぱい。
「個室じゃなくてすまない」
紬はそう言うけど、テーブルの間隔は広く取られているし、間仕切りもされているのでほとんど個室と変わらない。
店内から一望できるライトアップされた日本庭園もよく見える。
店内に流れている琴の音も相まって、まるで京都にでも来たかのようだ。
連れて来られたのは無理矢理だったけど、こんな素敵なところ滅多に来れるものではない。
でも飲み物を、と言われ、慌てて庭からメニュー表に目を移す。
「社長は車だからお酒飲まないですよね。私もあまり強い方ではないので…ウーロン茶をお願いします」
「飲んでも構わないのに」
ビアガーデンのときにも言われたけど申し訳なくてひとりでは呑めない。
ウーロン茶をふたつ頼み、机の上に置かれている和紙に書かれたメニューを手に取り、ひと通り目を通す。