君の声
俺の好きな声
「今日も始まりました!ラジオ、アカネの読み聞かせへようこそ!いつも聴いてくれてるみんな、ありがとうございます!さて、今日のお話は…」
やっときた、俺の楽しみにしてる時間。明音さん、いつもどおりのいい声するな。
そう、俺、大森 優声(オオモリ ユウセイ)はラジオを好きでとくに今、深夜2時からやっている「アカネの読み聞かせ」が好きで…、というよりも、明音さんの声が好きなのだ。明るくて、それでいて透き通るような、俺の耳を癒してくれる声。ほんとに好きでしょうがない。本当に重症だと自覚するほどに。って、今明音さんが一生懸命話しているというのに、自分のことをぶつぶつ言ってどーすんだ。ちゃんと聴かなければ。
「今日の話はこれにしよう!女子が憧れる物語、『シンデレラ』!では、きいてください、シンデレラ」
今日はシンデレラか。物語はあまり好きじゃないが、明音さんの声で語られると好きになってくるな。今度映画でも借りてみようかな。そう思いながら、「アカネの読み聞かせ」が終わると俺はさっさと寝てしまった。
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