髪の長い私は風と涙が嫌いだった。
デアイ
なんでこうなったんだろう…と
わたくし、新崎 果恋(Karen Sinzaki)は
暑い暑いアスファルトの上を歩きながら
考えている。
両親の間に少しずつヒビが入っているのは、
私も気づいていた。
夜中に帰ってくる父親に怒る母親。
仕事だから仕方ないと言う父親。
でも、私は見てしまった。
学校が終わって、
友達とショッピングモールに行ったときに、父親が知らない女性の腰に手を回しながら
歩いているのを
明らかに仕事の付き合いではないことは
誰が見ても分かるだろう。
女性の方はバッチリ決めた服装とメイク
父親の方は仕事のスーツだったが、
2人はジュエリーショップで真剣に
何かを選んでいた。
その父親の横顔はとても若く見えて、
酷く驚きを隠せなかった。
母親に言おうかどうかも迷ったが、
母親が傷つくのは私だって見たくない。
何とか2人を仲良くさせようと、
私はバイトの給料で2人をご飯に誘ったが、
自分の為に使いなさいと、母親が言った。
それは、私に対する優しさなどではなく、
父親も一緒というのが、
嫌だったのかもしれない。