リト・ノート
羽鳥の部屋でリトに会うと、チチチと翼を広げてくれた。これはおしゃべりなほうのリト。
立ったまま聞いてみると、リトは別に帰りたいわけではないらしい。美雨を呼んできて欲しいことがわかるくらいであれば、羽鳥とは本来会話が成り立ってもいいはずなんだと言う。
それはずいぶんな進歩だろう。もう可能性の問題ではなく、コツをつかむ段階なんだと思えた。
「羽鳥に言ってあげて?」
と美雨が右手を差し出す。先ほどのことを思い出したのか、羽鳥は一瞬ためらうように手を止めた後に上からその手を重ねた。
「こうやって話すのは久しぶりだな」
「俺の方は一生懸命話しかけてんだけどね」
とリトと羽鳥もしばらくぶりの雑談をしてから改めて本題に入る。
リトは忘れたのかわざとなのか、もう会話が成り立ってもいいはずという話はしなかった。
「要は君の固定観念だね」とカゴの中を飛び移りながらリトが言った。
「美雨にはできる。自分には無理。君はそう思い込んでいる」
「できないって観念が俺の世界を固定してる、だったよな」
初めて話した日にリトが羽鳥に言った言葉だ。頭が固いとも言っていた。
立ったまま聞いてみると、リトは別に帰りたいわけではないらしい。美雨を呼んできて欲しいことがわかるくらいであれば、羽鳥とは本来会話が成り立ってもいいはずなんだと言う。
それはずいぶんな進歩だろう。もう可能性の問題ではなく、コツをつかむ段階なんだと思えた。
「羽鳥に言ってあげて?」
と美雨が右手を差し出す。先ほどのことを思い出したのか、羽鳥は一瞬ためらうように手を止めた後に上からその手を重ねた。
「こうやって話すのは久しぶりだな」
「俺の方は一生懸命話しかけてんだけどね」
とリトと羽鳥もしばらくぶりの雑談をしてから改めて本題に入る。
リトは忘れたのかわざとなのか、もう会話が成り立ってもいいはずという話はしなかった。
「要は君の固定観念だね」とカゴの中を飛び移りながらリトが言った。
「美雨にはできる。自分には無理。君はそう思い込んでいる」
「できないって観念が俺の世界を固定してる、だったよな」
初めて話した日にリトが羽鳥に言った言葉だ。頭が固いとも言っていた。