リト・ノート
「リト・ノート、俺まだ持ってるんだけど」
ああ、そうだ。リトのことを頭から追い出していて忘れていた。
「なかったことにしたいって言ってたからいらないかとも思ってて。でもさ、最後はちゃんと話してたからどう思ってんのかなと」
なぜか羽鳥の言葉は自信なさげにしりすぼみだった。なかったことにしたい、そういえばそう言ったなと美雨も思い出す。
「ちなみにリトが最後に言ってたことは俺が書いた。意外と結構覚えてた。自分でつながったほうがはっきり聞こえる感じがするんだな」
この話をするために追いかけてくれたんだと、美雨はやっとわかった。
「なかったことにしたいとは今は思ってない。楽しかったし、いろんな話できたし。でも、まだちょっと怖いかも」
怖いという言葉が適切かはわからなかった。リトと話していたことなんてもう夢だったような気がしていて、自分の力に対する怖さは消えつつあった。
でもあの半年間のいろんな気持ちを思い出すにはこの思いはまだ鮮烈すぎる。今はっきり気づいてしまった。
「羽鳥に持っててもらってもいい?」
「わかった。返してほしくなったら言って」
羽鳥はホッとしたようだった。なかったことにしたい。そのことを意外と気にしていてくれたのかもしれない。
ああ、そうだ。リトのことを頭から追い出していて忘れていた。
「なかったことにしたいって言ってたからいらないかとも思ってて。でもさ、最後はちゃんと話してたからどう思ってんのかなと」
なぜか羽鳥の言葉は自信なさげにしりすぼみだった。なかったことにしたい、そういえばそう言ったなと美雨も思い出す。
「ちなみにリトが最後に言ってたことは俺が書いた。意外と結構覚えてた。自分でつながったほうがはっきり聞こえる感じがするんだな」
この話をするために追いかけてくれたんだと、美雨はやっとわかった。
「なかったことにしたいとは今は思ってない。楽しかったし、いろんな話できたし。でも、まだちょっと怖いかも」
怖いという言葉が適切かはわからなかった。リトと話していたことなんてもう夢だったような気がしていて、自分の力に対する怖さは消えつつあった。
でもあの半年間のいろんな気持ちを思い出すにはこの思いはまだ鮮烈すぎる。今はっきり気づいてしまった。
「羽鳥に持っててもらってもいい?」
「わかった。返してほしくなったら言って」
羽鳥はホッとしたようだった。なかったことにしたい。そのことを意外と気にしていてくれたのかもしれない。