リト・ノート
「そうでもないが、この子は無理かも。頭がいっぱいだから」
先ほどの声がまた話しはじめた。
「超常現象とか、チャネリングとか、そういう知識で、頭がいっぱい」
リズミカルに歌うような言葉は聞いたことのない単語で、美雨は怖いのも忘れて聞き返した。
「チャンネリング?で頭がいっぱい?」
「チャンネリングってなんだよ。チャネリングだろ」
すかさず羽鳥が指摘する。
「こいつがそう言ってんの?」
驚いたようだけれど、美雨に聞こえていることは信じているらしい。
「チャネリングって何?」
「宇宙人とかと交信するってこと」
「羽鳥もできるの?」
「できるわけないだろ、そんな簡単に」
「そう、できるわけない。そういう観念が君の世界を固定している」
リトの声が羽鳥に指摘するが、やはり伝わってはいないようだ。
「なんて言ってるんだよ?」
「うーん、できないって観念がどうとか」
「そんなややこしいこと言ってんの? 本当に?」
そう言われて言葉に詰まる。羽鳥には全然聞こえていない。このまま続けたらおかしなことになりそうだ。