リト・ノート
「ハトリといるなら怖くないらしい。そうか、羽鳥は友達がいないからか」
「お前のほうがずっと感じ悪いぞ、インコ」
「リトと呼んでくれないかな、羽鳥」
「お前本当に鳥なのか?」
「いい質問だな、羽鳥 。僕は鳥であるとも言えるし、そうではないとも言える」
「じゃあなんなんだよ」
自分抜きでどんどん進んで行く会話に、美雨はいつも通り口をはさめなくなった。でも、なんだか怖い方向に話が進んでいる気がする。
「それを聞く覚悟が君にあるかい?」
リトの甲高い声を聴いた瞬間、美雨はぱっと手を引っ込めた。
無理だ、とにかく怖い。
羽鳥の前で部屋を飛び出さないだけで精一杯だった。
「なんだよ、びびってんの?」
ちっとも怖がる様子を見せない羽鳥が聞く。むしろこんなに生き生きしている姿は珍しい。
「ごめんね、今の結構疲れたかも」
言い訳のように言ってみて、美雨は本当に瞼が重くなってくることを感じた。
あれ? どういうこと? 理解するより前に、美雨はそのままテーブルに頭を預けて目を閉じたい衝動にあらがえなくなった。