リト・ノート
「あれからしゃべった?」

「ううん。羽鳥が来たときにしてって言ってみたの」

こちらの話はたぶんわかっているんだろうと思って、リトにはあれからすぐ頼んでみた。

反応もなかったし通じるかは半信半疑だったけれど、この1週間何ごともない。むしろ、今日また話し出すのか不安なくらいだ。

「あのさ、俺と手つなげばいいってあいつが言ったの?」

「羽鳥はつながってないって言われたの。それで手をつないだらいいのかもって」

「直感か。やっぱり鳥じゃなくて中園の力なのかもな」

「違うよ。私動物と話したことなんかないよ」

「犬も寄ってきてただろ」

賢そうに見えても、羽鳥はまるでわかっていないようだ。犬が懐いてくるのと、今回のことは全く関係がない。

「ノートに書いたから、リトが言ったこととか見直したかったら見てもいいよ」

自分の部屋のドアを開けながらそう伝えた。やっとリト・ノートに書くことができて、つい張り切って覚えていることを全部書いておいたんだから。


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