リト・ノート
4.すきなやつとかいるの
振替休日後の火曜日。美雨の予想通り、体育祭の余韻は消えることなく羽鳥の周りに残っていた。

1年女子が廊下をうろうろしてはキャーキャー言っている。そのうち数人の子が集まって羽鳥を呼び出し、何か渡していた。戻ってきた教室でも、男女ともに羽鳥に何くれとなく話しかけている。

羽鳥はいつも通り愛想なく普通に接しているが、もともとよく話せばそれほどきつい性格でもない。

それに時々話してる途中にふと口角をあげて笑顔になる。それが周りの気をひくのは美雨もよく知っていた。本人は気づいてないのだろうと思えたが。




体育祭の前の水曜には来なかったから、次はどうするのか気になっていた。昨日も今日もみんなに囲まれていて、羽鳥は何も言ってこなかったから来ないのだろう。

別にいいけど、と美雨は思った。人気者になったタイミングでリトに興味をなくしたとしても仕方ないことに思えた。リア充というやつだろう。
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