リト・ノート
もちろん、詳しいことを美雨の方から聞き出すことはできなかった。ただ、先輩と付き合うときに初カレなんだと言っていたから、少なくともその後なんだろうと予想はついた。
沙織が羽鳥を苦手にしてそうなことは知っていた。あれは単に苦手なんじゃなくて、振った相手だから気まずかったんだと合点が行く。
教室についてからも美雨はどこかぼんやりしていた。新情報をうまく処理できなかった。自分が何に衝撃を受けているのか、よくわからない。
羽鳥が沙織に告白して、付き合って、振られたんだ。
無愛想な羽鳥に彼女がいた。
その相手がまさかの沙織である。
これからまた付き合う可能性が大きい。
どこを取っても驚きだった。
体育祭がきっかけなわけじゃない。最初から羽鳥は沙織側の人間なんだ。
受験の失敗という共通点で仲間意識を持ってしまった自分の勘違いが恥ずかしいような、興味なさそうに見えて沙織に告白していた羽鳥に何か裏切られたような、モヤモヤした気持ちが広がっていく。
「中園、消しゴム借りていい?」
隣の山根の言葉に我にかえる。消しゴムを渡しながら、周りが自分たちを見てクスクス笑っている気がして心がまた重たくなった。
沙織が羽鳥を苦手にしてそうなことは知っていた。あれは単に苦手なんじゃなくて、振った相手だから気まずかったんだと合点が行く。
教室についてからも美雨はどこかぼんやりしていた。新情報をうまく処理できなかった。自分が何に衝撃を受けているのか、よくわからない。
羽鳥が沙織に告白して、付き合って、振られたんだ。
無愛想な羽鳥に彼女がいた。
その相手がまさかの沙織である。
これからまた付き合う可能性が大きい。
どこを取っても驚きだった。
体育祭がきっかけなわけじゃない。最初から羽鳥は沙織側の人間なんだ。
受験の失敗という共通点で仲間意識を持ってしまった自分の勘違いが恥ずかしいような、興味なさそうに見えて沙織に告白していた羽鳥に何か裏切られたような、モヤモヤした気持ちが広がっていく。
「中園、消しゴム借りていい?」
隣の山根の言葉に我にかえる。消しゴムを渡しながら、周りが自分たちを見てクスクス笑っている気がして心がまた重たくなった。