リト・ノート
【沙織と勉強する約束したから、次は無理そう】
夜になって一方的に送って、すぐに履歴を削除した。最低なのは自分だとわかってはいるが、別に羽鳥になんと思われようと構わない。
言い訳だったはずなのに、本当に沙織にまた勉強一緒にしようと誘われた。美雨はもちろん頷いた。
「リトちゃんちょっと、変わったね」
沙織はリトの鳥かごを久しぶりに覗き込んでいる。今は人嫌いの方のいつものリトなのだが、言われてみれば多少近づいても怯えなくなったかもしれない。
「逃げなくなったね、さすがに美雨は誰でも手懐けちゃうなぁ。なんでだろう」
リトの鳥かごに指を近づけ嫌がられながらも、沙織はカゴから離れない。
「同窓会があったんだよね。健吾かっこよくなったって女子に言われてて、誰かに取られちゃいそうとかちょっと思ってるの。今更また付き合おうなんて言えないから、向こうから告って欲しいのにな」
独り言のような言葉に、何を返せばいいのかわからず「うん」とあいまいに頷いた。
「なんてね。美雨、実は健吾と付き合ってる?」
「ええ?ないよ!」
仲の良さを疑われてるのは知っていたが、付き合っているとまで言われるとは思わなかった。