リト・ノート
1年の冬からしばらく沙織と健吾が付き合っていたことはほとんど誰も知らない。沙織から聞いて知ってるようなのは美雨ぐらいだ。
沙織はモテる先輩と付き合ってたことで大騒ぎになってたから、ああいうのは嫌だって最初に言ってあった。付き合いが続くかもわからないし、誰かにいちいち言う必要ないだろうと。
家に来たり時々遊びに行ったり、健吾の方はそれで十分楽しかったが沙織は不満だったらしい。2年で同じクラスになった中園美雨に話すとかなんとか言うのを止めたらキレられて「じゃあ別れる」と言われた。
「いいよ」とその時も言ったはずだ。始まりも終わりも健吾はただ流されただけだった。
かわいい女子に告白されて付き合ってみたけど振られた。よくある話だろうし彼女ができるとか別れるとかこんな感じなのか、とどこか他人事だった。経験値を増やすゲーム的な感覚だったかもしれない。《ちゃらりらりん、ケンゴはキスを覚えた》そんな感じだ。
もし生真面目な美雨に言ったら今度こそ軽蔑され出入り禁止になるだろう。
好きだったのかと聞かれれば、たぶん、という言葉が浮かんでくる。それを口にしてはいけないことは、美雨に「最悪」と言われたことで学んだ。
頭でっかち。リトは健吾を時々そう呼ぶ。最初はムカついたが、確かにそうなのかもなと最近健吾自身も思っている。わかってるようでわかってないことは結構ある。
好きになるってどういうことか、わかってきたのは最近だ。
沙織はモテる先輩と付き合ってたことで大騒ぎになってたから、ああいうのは嫌だって最初に言ってあった。付き合いが続くかもわからないし、誰かにいちいち言う必要ないだろうと。
家に来たり時々遊びに行ったり、健吾の方はそれで十分楽しかったが沙織は不満だったらしい。2年で同じクラスになった中園美雨に話すとかなんとか言うのを止めたらキレられて「じゃあ別れる」と言われた。
「いいよ」とその時も言ったはずだ。始まりも終わりも健吾はただ流されただけだった。
かわいい女子に告白されて付き合ってみたけど振られた。よくある話だろうし彼女ができるとか別れるとかこんな感じなのか、とどこか他人事だった。経験値を増やすゲーム的な感覚だったかもしれない。《ちゃらりらりん、ケンゴはキスを覚えた》そんな感じだ。
もし生真面目な美雨に言ったら今度こそ軽蔑され出入り禁止になるだろう。
好きだったのかと聞かれれば、たぶん、という言葉が浮かんでくる。それを口にしてはいけないことは、美雨に「最悪」と言われたことで学んだ。
頭でっかち。リトは健吾を時々そう呼ぶ。最初はムカついたが、確かにそうなのかもなと最近健吾自身も思っている。わかってるようでわかってないことは結構ある。
好きになるってどういうことか、わかってきたのは最近だ。