リト・ノート
「戻ってきたよ」
山根の声に顔を上げると、いなくなった2人が出入口に立っていた。羽鳥が沙織の斜め後ろに立ち、守るように立っているように見えた。
「ごめん。美雨がうますぎて、ちょっとびびって逃げちゃった。本番までにもっと練習するから弾かせて」
いつも通りの明るくどこか甘えるような雰囲気で、結局沙織がピアノに向かった。
ところどころテンポを狂わせながらも歌に合わせてなんとか1曲伴奏しきると、ぎこちなかった空気がほっと緩む。
「次は来週だから、みんなもう少しちゃんと覚えてきて」
そう言って指揮者が解散を告げた。楽譜を素早く片付けると、沙織はいつもと違うメンバーに声を掛けてさっと出て行った。
由香と真尋が目を見合わせてから、真尋だけが沙織を追いかけた。由香は今の出来事には触れず「一緒に行こうよ」と美雨に言ってくれる。
横から山根も何か言ってきて、美雨は上の空で答えながら音楽室を出た。
羽鳥と一瞬目が合ったが、お互い何も言わなかった。
山根の声に顔を上げると、いなくなった2人が出入口に立っていた。羽鳥が沙織の斜め後ろに立ち、守るように立っているように見えた。
「ごめん。美雨がうますぎて、ちょっとびびって逃げちゃった。本番までにもっと練習するから弾かせて」
いつも通りの明るくどこか甘えるような雰囲気で、結局沙織がピアノに向かった。
ところどころテンポを狂わせながらも歌に合わせてなんとか1曲伴奏しきると、ぎこちなかった空気がほっと緩む。
「次は来週だから、みんなもう少しちゃんと覚えてきて」
そう言って指揮者が解散を告げた。楽譜を素早く片付けると、沙織はいつもと違うメンバーに声を掛けてさっと出て行った。
由香と真尋が目を見合わせてから、真尋だけが沙織を追いかけた。由香は今の出来事には触れず「一緒に行こうよ」と美雨に言ってくれる。
横から山根も何か言ってきて、美雨は上の空で答えながら音楽室を出た。
羽鳥と一瞬目が合ったが、お互い何も言わなかった。