忘れてしまえ、私の心。


そもそも、私の恋は3か月前に幕を閉じたはずなのだ。


3か月前のあの日、私の誕生日に。


あの日、私の家に葵がやって来た。毎年お祝いをしてくれるから、その日も来てくれたんだなと思っていた。


だけど、葵は私に由佳を好きになったと相談してきた。優しくしてもらったと言っていた。


別に相談されたことに文句はない。


ただ、私の誕生日を忘れてしまうほどに由佳を好きになったのかと問いたかった。


それよりもずっと前からあなたが好きで、他の誰にも向けないような優しさをあなたに向けてきた私は優しくないの?


一度の優しさでそんなに虜になってしまったのなら、余程だったんだろう。


実際、私も由佳の優しさは知っているし、それにたくさん助けられたからわかるけれど。


私はふたりを応援することにした。とっさの判断だ。間違えたとか言わないで欲しい。私だって、何が正解かなんてわかって協力をした訳ではないのだから。


それに、ここで私が葵のことが好きだったなんて言っても、両方が困るだけだとわかっていたし。


まあ、そんなこんなで私は長年抱いていた葵への恋心を忘れる決心をした。



ちなみに、2日後くらいに葵は


「ごめん。遅くなった。おめでとう。」


と言って祝ってくれた。


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