想いの行方
「・・・藤咲」
「なに?」と顔を上げると同時に頬にアキラの手が添えられた。
驚いた私は声も出せず、瞬きをするのも忘れて
目の前のアキラの顔を見つめた。
「オマエ、妹だったな」
「・・・はい?」
「アイツの・・・真奈の」
「何言ってるの?そんな事は前から知ってるでしょ?」
頬に添えられた手はそのままに
私との距離を一歩 詰めたアキラのもう片方の手が
ゆるく私の腰を抱き寄せた。
「やっ!・・・ちょっと 何?」
これまでに無い近い距離で見つめたアキラの瞳は微かに蒼くて
その不思議な色に一瞬で囚われた私は
目をふせることも顔を逸らすこともできなかった。
瞳の中に吸い込まれてしまいそうな気さえする。
「同じなんだな」
「え?」
「アイツも・・・同じだった。
抵抗するでもなく、観念して目を閉じるわけでもなく
瞬きもしないで俺を見てた。今のお前みたいに」
「あの・・・」
「姉妹ってこういう所も似るのか?」
お姉ちゃん・・・!
そういう事か、と何かの術から覚めたように
自由になった視線をアキラから逸らした。