僕が小説を書くように

 ピキイッ!

 そんな擬音でしか表現できない衝撃が、腰に走った。

「うおっ!」

 重い段ボールを抱いたまま、僕は固まった。

 目から火花が出るんじゃないかと思うくらいの、痛みの衝撃。

 とりあえず、箱を置こうとしたけれど、
「つうっ!」
 筋肉が引きちぎられるような苦痛があって、姿勢を正せない。

 ゆっくりゆっくり、腕をのばして、段ボール箱を置く。
 それだけで、脂汗が滝のように出る。

 これは、まさか、
 加齢とともに訪れる、

「ぎっくり腰」

 というものじゃなかろうか。

 英語名は、「魔女の一突き」。

 なんてこった。

 からだが動かない。動かせない。

 こんなつらいものだとは、知らなかった。

 どうすればいいのだろう。

 ふと、机の上に置いてある、スマホが目に留まった。
 
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