僕が小説を書くように
 このままでは、日干しになってしまう。

 助けを呼ばなくては。

 死ぬ思いで、机ににじり寄り、スマホを手に取った。

 でも、誰に?

 僕のことを助けてくれそうな人が、思い浮かばない。

 作家の仲間はたくさんいるけど、たぶん大笑いされて、来週にはエッセイのネタにされてしまうだろう。

 かと言って、救急車を呼ぶのも、搬送中ずっとさらし者になってしまう。

 ときどきテレビの仕事も引き受けるせいで、顔が全国に知れ渡っているのだ。

 苦痛と恥辱にうめきながら、アドレス帳を開いた。

 そのあとの僕の行動は、魔が差したとしか言いようのないものだった。

 


< 28 / 81 >

この作品をシェア

pagetop