僕が小説を書くように
窓からは、中庭の様子が一望できる。
色とりどりの衣服をまとった女学生たちが、嬌声をあげて行きかう。
なんとなく女の子ばかりに目が行ってしまうのは、僕が男だからだ。
「はぁ……」
それにしても、最近の学生というのは、どうしてこんなにおとなしいのだろうか。
僕が着任したばかりの頃は、もっと積極的なやつが多かった気がする。
こちらに哲学的な議論をふっかけてくるやつが、ざらにいたはずだ。
それに比べて最近の学生たちは、総じておっとりとしている。
育ちが良くなったのか、学校教育のせいなのか。
そのわりには、平気でタメ口をきいてきたり、とんでもなく非常識なことをしでかしたりする。
どうやって勉強の手を抜くかということに命をかけている。リポートのコピペはもはや恒例行事だ。
僕が大学生だった頃もいろいろな手段があったものだけど、考えることまで放棄することはなかった。
大学生だということにプライドを持っていたし、朝まで酒をのみながら討論するというのも珍しくはなかったのだ。
それがどうだ。
今や、私語を注意しただけで、「アカハラだ」と指をさされる。
異常に露出の多い女学生を諭したら、「セクハラだ」と怒られる。
少し本気で怒ると、講義の欠席どころか、大学そのものに来なくなってしまったりもする。
「いったい、どこまでが教育なんだ」
独り言が、口をついて出る。
こんな窮屈な世界、ないではないか。
キーン、コーン……。
おっと、予鈴だ。
僕は書類を抱えて、重い足を引きずり、大教室に急いだ。
色とりどりの衣服をまとった女学生たちが、嬌声をあげて行きかう。
なんとなく女の子ばかりに目が行ってしまうのは、僕が男だからだ。
「はぁ……」
それにしても、最近の学生というのは、どうしてこんなにおとなしいのだろうか。
僕が着任したばかりの頃は、もっと積極的なやつが多かった気がする。
こちらに哲学的な議論をふっかけてくるやつが、ざらにいたはずだ。
それに比べて最近の学生たちは、総じておっとりとしている。
育ちが良くなったのか、学校教育のせいなのか。
そのわりには、平気でタメ口をきいてきたり、とんでもなく非常識なことをしでかしたりする。
どうやって勉強の手を抜くかということに命をかけている。リポートのコピペはもはや恒例行事だ。
僕が大学生だった頃もいろいろな手段があったものだけど、考えることまで放棄することはなかった。
大学生だということにプライドを持っていたし、朝まで酒をのみながら討論するというのも珍しくはなかったのだ。
それがどうだ。
今や、私語を注意しただけで、「アカハラだ」と指をさされる。
異常に露出の多い女学生を諭したら、「セクハラだ」と怒られる。
少し本気で怒ると、講義の欠席どころか、大学そのものに来なくなってしまったりもする。
「いったい、どこまでが教育なんだ」
独り言が、口をついて出る。
こんな窮屈な世界、ないではないか。
キーン、コーン……。
おっと、予鈴だ。
僕は書類を抱えて、重い足を引きずり、大教室に急いだ。