僕が小説を書くように
 彼女は、浴室からバスタオルを何枚か持ってきて、器用に床に敷き始めた。

「あの、床だと腰痛くならない? よかったらこっちに来る?」

「大丈夫です」

 僕が手招きすると、微笑んで拒絶された。

 寝床が完成し、彼女が羽織っていたカーディガンをするっと脱ぐ。

「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ……」

 嗚呼、なんでこういうときに、俺の腰がぶっ壊れるんだ!

 電気が消され、薄暗い中、少し離れた位置に彼女の白い顔が見える。

 頑張って老眼気味の眼をこらす。
 横に流れた胸は、思っていたよりも大きい。

 僕は相変わらず、うつ伏せのまま……。

 首が痛くなってきました……。

「先生?」
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