僕が小説を書くように
「乾杯!」

 数週間後のこと。
 僕と彼女は、小洒落た居酒屋にいた。

 彼女の原稿が完成したのだ。
 その打ち上げと称して、彼女を連れだした。

 彼女は最初、ああだこうだと断るそぶりを見せていたので、半ば強引にタクシーに乗せた。

 もちろん、学校からは離れた場所でね。

 彼女は、ごくわずかにアルコールをたしなんでいた。
 これくらいなら大丈夫、とのこと。

 僕は、格好をつけてギムレット。
 ペースはもちろんグイグイと速い。

 彼女を、どうにかしたかったのだ。
 できれば、今夜じゅうに。

 タバコを吸っていいか、と彼女にきくと、案外あっさり、オーケーがもらえた。

 しばらく、今回の小説の話をした。
 可能性、賞の傾向と対策、僕なりの忠告、その他細かいことごと。

 彼女はもちろん、研究をしているけれど、知識の足りないところを補足してやった。
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