僕が小説を書くように
初夜
 僕らは、ラブホテルになだれ込んだ。
 なるべくエレガントなホテルを選んだことは、言うまでもない。

 本当は、連れ込みでないホテルに行きたかったが、しょうがない。
 タクシーがこの不況にもかかわらず、捕まらなかったのだ。

 僕は前戯に時間をかけた。
 それはもう、当然の礼儀のようなものだ。

 彼女のからだは、小刻みに震え、それが止まらなかった。

 試行錯誤しながら、あちこちを責める。

 このへんでじゅうぶんだろうという手ごたえを得たところで、行為に及んだ。

 でも、彼女は、僕が入ろうとすると、ひどく痛がった。

 何度か中断していろいろやってみたが、どうにもだめだった。
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