僕が小説を書くように
 入るなり抱き寄せてキスをすると、彼女は舌を懸命に絡めてきた。
 前回はひたすら受けに回ってきたのだったから、学習したのだ。

 僕は内心で悦んだ。
 教えがいのあるレッスンだ。

 服を脱がそうとすると、彼女は僕の手を取って「駄目」と言った。

「シャワー、浴びてきます」

 そう言って、バスルームに入った。
 やがて、水音が聞こえてくる。

 僕はダブルベッドに腰かけ、どうしようかな、と考えた。
 ゆうべさんざん考えたので、答えは出ているのだが。

 僕も、服を脱いだ。
 ジャケットはハンガーにかけて、しまっておく。

 そして、バスルームの構造を思い出す。

 ここのホテルのバスは、バスタブとシャワールームが別になっているタイプ。
 彼女が使っているのは、手前にあるシャワー。

 最後の一枚まで脱いでしまうと、からだに一発気合を入れて、突入した。
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