僕が小説を書くように
「俺の、どこが好き?」

「そんなこと、一言では言えません」

「いまさら、照れなくていいんだよ」

「知的なところ、才能があるところ、佇まい、声、そんなところかな」

「言えたじゃない、素直に」

「不思議ですね。自分でも驚いてる」

「ん、なにが?」

「数か月前、いえ、何年も前から、手の届かないはずだったひとなのに、今こうして隣にいることが」

「そりゃ、がっかりしただろう」

「とんでもない。逆です」

「俺にイカレてる?」

「もう、めためたに」

「それは光栄だ」

「寝たばこはやめてくださいね」

「はいはい」
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