僕が小説を書くように
 僕は、男のうしろについて、席を立ち、勘定を済ませた。
 鼓動がバクバク打っている。

 そのまま、店を出て誘導される。

 なんなんだ、この男は。
 寒いのに、さらに冷や汗が出てくる。

 もう、外気の感覚がない。

 店の裏にある、児童公園に出た。
 闇に沈む遊具が、気味が悪い。

「ぼく、先生の勤めていらっしゃる学校の、学生でしてねぇ」

 男は、ゆっくりとそう言った。

「見たんですよ、先生と松本さんが、ホテルに入っていくところを」
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