僕が小説を書くように
 やはり、こうきたか。
 僕は、身を固くした。

「証拠は? 証拠はあるのか」

「ありますよ。ほら」

 男は、写真を取り出した。
「スマホにもデータがあります。お見せしましょうか?」

「いや、いい」
 バッチリと撮られていた。彼女の肩には僕の腕。
 うかつだったとしか、言いようがない。

「どうするつもりだ、これを」
 もう、お手上げなのか。
 なにかできないか、なにか……。

「どうしましょうねえ」
 男は、青白い顔をゆらゆらさせている。
「大学に送り付けるか、それとも……」

「なんだっていうんだ」

「先生の奥さまに送る、という手もありますねえ」

 はっとして、顔をあげる。
 




 
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