僕が小説を書くように
「そのリアクションは、図星だったということなんでしょうねえ」
 
 僕はもう、肩をすくめ続けるしかない。

「先生には、奥さまもお子さんもいらっしゃるんですよねえ。
 ほとんど情報は開示されていらっしゃいませんから、一般人は知らないんでしょうが」

「……どこで、それを知った」

「ちょっと調べれば、すぐにわかることですよ」

「もう、終わっているんだよ」

「でも、籍は入れたままなんですよねえ?」

 事情があることなのだ。
 それを説明したくなかった。

「松島さんにそれを知られたら、困りますよねえ」

 黙っていると、男はひひひといやらしく笑った。
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