僕が小説を書くように
「だいたい、きみは松島くんのなんなんだ?」

「ぼくはですねえ、そうですね、彼女の親しい友達です」

「嘘をつくな。彼女は、学校に友達がいないと再三言っていたぞ」

「だって、ぼくは彼女と話したことが何度もありますからねえ」

「どんなことだ? 言ってみろ」

「時間をたずねたり、消しゴムや鉛筆を拾ってもらったり、ノートを借りたり」

「それは、友達じゃないだろう」
 僕はだんだん、イラついてきた。
「きみは単なる、彼女のストーカーじゃないか」

「そんなこと、言える立場にあるんですかねえ」

 僕はまた、沈黙する。
 恐れと怒りが手をわなわなと震わせる。
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