僕が小説を書くように
 僕は、眠れなくなった。

 どんなに疲れていても、眠れない。
 あの幽霊みたいな男が、目の前でゆらゆらするのだ。

 自分のまいた種とは言え、やはり社会的制裁が恐ろしかった。

 失職してしまうかもしれない。
 経済的な基盤を失うかもしれない。

 そうしたら、すべてが僕の手からこぼれ落ちてしまう。
 僕が守っていた家庭も、彼女も、すべて。

 男は、どこかで僕のことをあざ笑っているのだろう。

 ネットにつなぐのが怖くて、パソコンも触れなくなった。
 イコール、仕事ができないということだ。
< 70 / 81 >

この作品をシェア

pagetop