僕が小説を書くように
『突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください。

 私は、先生の長年の愛読者です。

 先生の作品では、特に『愛に揺れる夏』が好きです。

 お忙しいところ恐れ入りますが、同封いたしました拙作をお読みいただき、評価をしていただけないでしょうか?

 図々しいお願いなのは、承知しております。

 メールアドレスを併記しておきますので、いつでもご連絡くださいませ。

                      松島恵』

 やっぱりこの手合いか、と僕はがっかりした。

 要するに、僕を踏み台にして、作家デビューをもくろんでいるのだ。

 まあ、作家で、教育職に従事するものの、さだめではある。

「受け取っちゃった手前、読んでやるか……」

 僕はきれいに綴じられた原稿用紙を手にし、目を通していった。

 
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