【完】『雨の日と月曜日は』

窓を開けた。

見ると、昼間見た真っ赤なバイクがある。

慌てて泉は外に出た。

「いや、うちも帰ってから気づいたんやけど、連絡先知らんからどないしょうかって」

一徹は笑わせようとした。

が。

泉は急に、

「ごめん…ごめんね…」

一徹の目の前で、そのくりくりとした瞳が潤んで、一筋の涙が落ちるのが、街灯で光った。

「まぁ、まさか来るとは思わんよな。こっちこそ驚かして、かんにんやで」

一徹は泣かれるのが弱かったようで、

「うちこそごめんな」

次は真剣な眼差しで言った。

< 20 / 64 >

この作品をシェア

pagetop