【完】『雨の日と月曜日は』

そういう一徹だが、たまに泉がアルバイト先で上司にムカついた話をこぼすと、

「そんなときはね、頭だけ下げてやり過ごせばいい」

と一徹はいった。

「下げたまんまいれば、言葉なんか頭上を抜けてゆくから」

まるで頓知のような答えだが要は、

「上司の説教なんてものは、聞いてもらいたいから話すだけで、実際分析してみたら、役立つ内容は三割もない」

というのが一徹の持説で、

「ほんとに役立つ情報は、説教される前に手に入るもんや」

というのである。



< 44 / 64 >

この作品をシェア

pagetop