【完】『雨の日と月曜日は』
★2★
彼女は相川泉といった。
「でさ、そっちは?」
「うちか? 一徹(かずゆき)。平賀一徹」
信号待ちをしている間は、そんな会話である。
「字で書くと一徹ってなるから、みんなイッテツって呼んどる」
国道を左に折れ、並木通りを入ると、駅のロータリーが見えてきた。
「もう着いちゃうんだ」
「バイクやからね」
泉は名残惜しそうにしていたが、
「ね、…もうちょっと乗ってたいって言ったら…怒るよね?」
泉は訊いた。