ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「でも今はそう思わない。謙信くんのことが好きだから、これから先もずっといっしょにいたいから。……だから謙信くんにも私のことを好きになってほしい。人を好きになる気持ちを知ってほしいの。だって誰かを好きになるって、時には苦しくなるほど幸せだから」

もちろん幸せなことばかりじゃない。辛いことだって苦しいことだってある。

けれどそれ以上に幸せって思えることが、うんとあるから。

「謙信くんとふたりで幸せになって、温かな家庭を築いていたい。……だからこそ好きって気持ちを知ってほしいと思う。そのために私、頑張るから」

今の私が伝えられる想いをすべてぶつけられた。……少しは私の気持ちが届いたかな?

話している途中も、話し終えた今も、彼は驚いているのか微動だにしない。

それほど私の告白は衝撃だったのかも。けれど私は後悔していない。

例え告白したせいで、婚約解消されてしまったとしても、気持ちを伝えないままずっといっしょにいるよりマシだから。
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