ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

「ごめん。……すみれの気持ちは嬉しいし、お前のこと可愛いと思う。……でも今はまだこの気持ちが、すみれと同じ好きって感情なのかよくわからない」

瞳を逸らさぬまま教えてくれた謙信くんの本音。

やっぱりって思いと、そうだよねって思いと。……複雑な気持ちになる。

「そっか」

ポツリと漏らすと、彼は私の肩を掴んだまま続けた。

「けれど俺はこれから先もずっと、すみれといっしょにいたい。……今はまだそれでもいいかな？」

不安げに瞳を揺らし言った彼。きっとこれが謙信くんの今の本当の気持ちなんだと思う。

謙信くんは不安そうにしているけれど、私がどう答えると思っているのだろうか。

そんな不安な顔をすることないのに。

彼に対する愛しいって感情が溢れ出し、気づいたら自分から謙信くんの胸の中に飛び込んでいた。

「いいに決まっているじゃない。……少しずつでいい。そばにてくれるなら」

「すみれ……」

もっと謙信くんのぬくもりを感じたくて、大きな背中に手を回すと、少しだけ彼の身体がピクリと反応した。

それさえも愛しくて、大好きって思えてしまう私は重症なのかもしれない。