ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「謙信くん、大好きだよ」

一度伝えた想いは、いとも簡単に言葉に出る。昔からずっと言いたくても言えなかったのに。

それはきっと自分自身が少し変われたからかもしれない。

しばし彼のぬくもりに酔いしれていると、謙信くんは「勘弁してくれ」と言うと深く息を漏らした。

「え……わっ!?」

次の瞬間、苦しいほど抱きしめられる身体。すると謙信くんは私の耳元に唇を寄せた。

「そういう可愛いこと、言わないでくれ。……でないとこのまますみれのこと、襲いたくなる」

「……えっと」

そ、それはつまりあれですよね?

彼の言いたいことが理解できて、身体中が熱くなる。

「抱き着いて大好きとか反則だから」

そう言うと謙信くんは私の耳朶を甘噛みしてきた。

「キャッ!?」

首筋に這う彼の唇に、身体がゾクリとする。そして首元に顔を埋めるとチクリと痛みがはしった。

「……っ」

「今日はこれで我慢する。……すみれのこと大切にしたいし、これから言動に気をつけて」

ゆっくりと顔を上げると私を見つめ言った。

「でないと俺、抑える自信ないから」

いつになく妖艶な表情に言葉にならず、何度も首を縦に振った。
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