ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

それから一週間。すみれは毎日俺に弁当を作ってくれた。そして変わったことがある。

今までの俺たちの関係は、すみれが話をし、俺が聞き役に徹しているのがほとんどだった。

けれど最近は、彼女はよく俺に聞いてくる。小さなことからいろいろと。

最初は戸惑いつつも、俺が話すたびに彼女は嬉しそうに聞くものだから、俺もまた嬉しくなり……。


今までは避けてきた仕事の愚痴もつい零してしまうことも。けれどすみれは嫌な顔ひとつ見せず、いつも俺の話を聞いてくれた。

だから想像してしまった。すみれと結婚したら、こういった幸せな毎日を送れるのかもしれないと。


「今日もまた、大変美味しそうなお弁当ですね」

淹れてくれたお茶をデスクに起きながら、池田さんは今日も俺の弁当の中を覗き見る。

これがすっかり日課となっていた。

「どうです？　おわかりになってきましたか？　好きって感情を」

そして池田さんと食事を共にし、相談に乗ってもらうことも。

「どうでしょう……。でも、やっぱり彼女とはこの先もずっといっしょにいたいって気持ちは、変わりません」