ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

よかったじゃんと言いながら、いきなり私の頭を撫でてきた一弥くんに戸惑う。

だって一弥くんはこういうことを私にする人じゃなかったから。

「実は今、留学先から一時帰国していまして。それで久しぶりにすみれに会いたくなって来ちゃったんです。……もしかして今日これから綾瀬さん、すみれと予定がありましたか？」

「そうだったんですね、いいえ全然ですよ！　ただいっしょに買い物いこうって思っていただけですから。久しぶりにふたりでゆっくり過ごされてください」

「すみません、ありがとうございます」

「え、ちょっと一弥くん？」

勝手に沙穂さんと話を進めた一弥くんは、再び私の手を取った。

「それではすみれ連れていきますね」

「すみれちゃん、また明日ね」

私たちに向かって手をひらひらさせる沙穂さんに見送られ、一弥くんに引きずられていく。

「せっかくだし、どこかでお茶しない？　それともご飯食べる？」

お茶にご飯って……私と一弥くんが!?　冗談でしょ!?