ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「私、結婚してから謙信くんに好きになってもらえばいい、そう思っていたの。……でもそれじゃだめだと思う。お互いが好きでないと意味がないと思うから。好きでいっしょにいられるだけで幸せになれちゃって。支え合える同等の立場でないと、結婚する意味がないと思うの。私は謙信くんと、そんな関係になってから結婚したい」


今よりもっと強くなって、謙信くんにとって甘えられる存在になりたいから。

「だからもう一度、片想いからはじめさせてほしいの。謙信くんに好きになってもらえるような、そんな人間になりたいから。……だから幼なじみの関係からやり直したい」

ずっと臆病で謙信くんのことが好きだったのに、気持ちを打ち明けることができなかった。


そこからまたはじめたい。幼なじみとしての私を見て、少しずつでいい。異性として見てほしい。……そして好きになってほしいの。

彼の瞳を捕らえたまま伝えると、謙信くんは私の手を握る力を強めた。

「すみれの気持ちはわかったよ。……次は俺の気持ちを伝えてもいい?」

「――え」

謙信くんの気持ち?

そう言うと、謙信くんは真剣な面持ちで語り出した。
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