ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
『住み込みで花嫁修業はじめました』
「じいさん、これすっげぇ美味い」

「そうだろう? なんせ昼間から仕込んだからな」

あれから謙信くんと居間に戻ると、おじいちゃんが料理を温め直して待ってくれていた。

それをさっそく謙信くんはいただいているわけだけど……。

隣に座っておじいちゃんの料理に舌鼓をうつ彼の隣で、ふと見てしまうのは左手薬指にはめられている指輪。

それはしっかり指にはめられていて、さっきのプロポーズは夢じゃないんだって教えてくれている。

私……本当に謙信くんの婚約者になったんだよね?

指輪をはめてもらっても、夢みたいな出来事に現実味を感じない。

でもその彼は隣にいる。それが夢じゃないなによりの証拠だよね?


それから食事を終えた謙信くんとおじいちゃんに、まるで子供のようにバースデーソングを歌ってもらい、二と三の形をしたろうそくの火を消すと、ふたりから温かな拍手をプレゼントされた。

歳を重ねるごとに誕生日は照れ臭くなるばかりだったけれど、それでもやっぱり誰かに祝ってもらえるのは嬉しい。

それが大好きな謙信くんと、おじいちゃんだから尚更。
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