ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

「その……いきなり婚約って言われて、更にいっしょに住めって言われても、まだ心の準備ができていなくて……」

しどろのもどろになりながらも、本音を吐露していく。

ずっと好きだった人にプロポーズされただけでも一大事なのに、その上いっしょに暮らすなんて……。


この数日間、何度も頭の中で謙信くんといっしょに暮らす生活をシミュレーションしたんだけど、想像さえできなかった。

そんな状態でこれから本当にやっていけるか不安でしかたない。

するとおじいちゃんは、なぜか不思議そうに私を見た。

「心の準備もなにも……。すみれは嬉しくないのか？　子供の頃から謙信のことが好きじゃったんだろう？」

「……えっ!?」

図星を突かれ、大きな声が出る。

「なんじゃ、じいちゃんが気づいていないとでも思っていたのか？　悪いが孫の気持ちくらいお見通しじゃ」

得意気に話すおじいちゃんに、ずっと前から気づかれていたかと思うと、恥ずかしくて身体中が熱くなってしまう。