魔法よ、解けてはくれないだろうか
先生は私の言葉に目を見開いた。

「……雲に隠れていたので気付きませんでした」

そっか、と心の中で呟いた。

「月はずっと前から綺麗でしたよ」

静かに窓の外に視線を移した。

私は黙ってしまった先生に言う。

「……夕日が綺麗ですね」

夕焼けが二人きりの教室を赤く染めている。
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