春色に恋して
委員会が無事終わり、早く家に帰りたいせいか、皆は早足で教室を後にした。
斜め前の彼に目をやると、彼はスクールバッグを持って今にも帰るところだった。
「あっ、あの!」
思わず引き止める。
彼の肩が微かに反応した。
「遅くなってすみません…!さっきはありがとうございました…!」
「別にいいよ。気をつけろよな」
そう言って彼は教室を去った。
…まあ、そうだよね。
そんなに上手くはいかないか。
私も彼の後を追うように教室を離れた。